Stand by me
キラは焦った。
ザフトの運搬艦!!
あちらから攻撃を仕掛けてくる。
それに反応して、とっさに撃ってしまった。
あちらから、大きな戦闘機___デュエルが落下していく。
それを認めた瞬間、こちらもフェイズシフトを起こし、追随するように落下した。
もともと、エネルギーがなくなりかけたので、一旦退却するところだったのだ。
運が悪い。
「つ・・・・」
どうやら、どこかの島に到着したらしい。調べてみると無人島だ。
「こちら、ストライク、アークエンジェル聞こえますか?」
ザーザー・・・
ザフトの埋めた電波妨害のせいで届く様子はない。
しばらく様子を見たほうが良さそうだと判断して、救難信号を出しておく。
見つかるまでここで大人しくしていた方がいい。
へたに動いても行き違うだけだ。
「よっと・・・」
ハッチから降りて、とりあえずここの無人島を探索しようと歩き出す。
調べたところ、ここはそんなに広い無人島ではない。
(それに・・・・)
さっきのモビツスーツも同じところに落ちた確率が高い。確かめておいた方が良さそうだ。
なるべく遭遇は避けたい。居たら居たで、ストライクが見つからないように監視しておく必要がある。
できるならば、争いたくない。
「それにしても、緑が多いな。でも、風が・・・気持ちいい。」
海岸沿いの、さくさくと乾いた土の上を歩いて行くと、孤島なのだとわかる。そして、海岸には大きな岩が転がってはいるが、危険な崖というところはない。
チチチチ・・・
鳴き声を上げて小さな鳥が木々の間を飛ぶのが見えた。どうやら少しは動物がいるようだ。
しばらく行くと、砂浜があった。
「すごい・・・・・・」
本物の砂浜。
グラスを通したものじゃない。
きらきら太陽を反射している砂の美しさはそれと比べ物にならないくらいだった。
まるで、宝石が敷き詰められているようにそれは輝いていた。
打ち寄せる波。
その水はとても澄んでいて、やはりこれも太陽光線を反射して光の模様が出来ている。
「綺麗だ・・・」
本物はどれもこれも美しい。レプリカには見飽きていた。
思わず歩み寄って自分の足を膝まで海水に浸す。もちろん、銃ははずして。
「気持ちいい」
冷たく包み込まれる感覚。
ゆらゆら揺れる足元を見ると、貝が少し砂から顔を出していた。キラはにっこり笑ってそれを手にとる。
貝殻の残骸だった。
中に生物はいない。
持ち帰ろうと、ポケットに入れてさらに他のものを探そうとする。が、何を思ったか、視線を突然空の遠くに向けた。
「・・・・雨雲だ・・・ここだとすぐに流れてきちゃうな。」
雨が降る前にこの無人島をせめて一回りでもしたい。ざぶざぶと砂浜めがけて歩く。
あと少しだ・・と、何かぬめりとした感触が足の裏を走り、豪快に転んだ。
「つ〜〜〜〜!あ〜あ、上から下までずぶぬれだ。」
急いでいたとはいえ、己のまぬけな失態に苦笑をもらす。
踏み潰した海藻を砂浜に投げたして、打った腰をかばいつつ、砂浜に行き、銃のホルダーを付け直す。
「!!」
振り向いた顔の横を銃弾が過ぎた。少し頬の肉を持っていかれる。
一体何者かを確認する間もなく、銃弾を避ける。
大きな岩に身を隠す。
そして、銃の安全装置をはずして手だけ岩から出して、相手のいるだろう方角へ撃つ。
どんっ
いつ聞いても嫌な音だ。銃声というやつは。
こんな音の一瞬で命が消えていく。
「ちっ」
相手の舌打ちが聞こえた。
今度は顔を出して、居る方向を確信して撃つ。
相手が避ける。
ガチッ
銃を扱ったことがないキラは弾の配分を考えるのを怠っていた。もう、弾がない。
(どうする・・・?)
キラはナイフがあることを確認して、思い切って岩から飛び出す。
相手が逃すわけもなく撃とうとする。
しかし、キラは弾のない銃を相手に投げつけ、その一発を逸らす。
だが、岩に隠れる瞬間にまたしても相手が撃ってきた。その弾は足の付け根あたりに当たった。
キラの足ががくりと沈むが、なんとか立て直し、岩に逃げ込む。ズボンのポケットの辺りがちくちくする。
運良くポケットに入っていた貝に当たったようだ。拾った貝が頑丈で良かった。
「くっ」
ガチッ
どうやら相手も弾切れのようだ。しかし、予備を持っていないとも限らない。
チャンスは今しかない。
岩から飛び出し、ナイフを自分の手に持たせた。
そう距離は遠くない。
ここが砂地でなく、岩で良かった。少々でこぼこでも、砂よりは走りやすい。
凄まじい勢いで飛び出してきたキラに相手もまた、弾切れの銃をなげつける。
しかし、キラはそれを素手で振り払い、相手の懐に飛び込む。相手がナイフを素早く取り出すところだった。
体当たりをかけ、なだれ込むように抑える。
相手は衝撃で頭を少し打ったようだ。強打しなかったのは相手の技術の高さを証拠づけている。
押さえつけた相手のナイフを自分のナイフをかち合わせ、落とす。
「くそっ」
上から馬乗りで押さえつけられ、身動きができない相手にキラはナイフをかざし、振り下ろす。
相手は顎をぐっと引き、キラを睨みつけていた。眼の力で殺せるのなら、今、相手はキラを殺せていただろう。
キラはただ無表情に、振り下ろす。
ガッキィィン
「!!」
ナイフの切っ先は、相手のすぐ横の岩肌に食い込んでいた。
「・・・・ハァハァ・・」
キラは荒く息をつく。
寸前のところで手首をひねったのだ。
キラは瞳を大きく見開く。そして、その顔を歪めた。
カラン・・・
ナイフが手から落ち、キラは両手をゆっくりと目の前に持ってきた。
その眼ははちきれんばかりに開いていて、今度は身体を震えさせ始めた。
「ああああ・・・・あああ・・・」
手のひらに何がついているというのか、キラは震えている。
そして、震える手で頭を抱えた。
「ああ・・・・ああああ・・・!!」
守らなければ守らなければ・・・・・
でも、人を殺して?
『守るには必ずその分だけの代償が必要になってしまうんだよ』
「う・・・ぁ・・・僕は・・・僕は・・・!!」
手が汚れている。
真っ赤な血で汚れている。
これは・・・・・・誰の血?
→NEXT
あとがき
とりあえずキラ視線をまじえて書いた。後編はイザークの方からで。これは本編「運命の出会い」ではアスランとカガリが落ちた設定だけど、変えて、キラとイザークということで。かなりの妄想入ってます。
良ければ感想をBBSにお書きください。