何かが間違っていた
彼はそれに気づいたのに
僕らはそれを知っていたのに
それでも
見て見ぬフリをした
罰は受けます
すぐにでも
彼の代わりに
代償
目の前の白い紙を破り捨てたいと雲雀は本気で思った。
「なんだい、これは」
「今までの紛争の詳細な記録とこれから起こり得る紛争のデータだ」
机の上に積みあがる紙と、それを凝縮したデータメモリー。
紙の間に見える何かを決意した漆黒の瞳が苛立ちを増幅させる。
すべてを見据えて出した答えだとわかっていながら、それでもその結果に納得できない雲雀はその瞳を睨む。
それを受けても光を放つことのない漆黒は吸収して沈黙する。
「へぇ」
「・・・・・・任せた」
「やだよ」
踵を返した黒スーツの背中が止まる。
瞬間に部屋の中の温度が10度は下がったように思えた。
弱るどころかますます鋭くなる彼の力に雲雀は唇を歪ませた。
「あの子のお守りなんてごめんだね。」
「・・・・・・」
黒に身を包む赤ん坊はそっと囁く。
抗えぬ呪文。
「神様は人間の器を決めるとき
どんなサイズにしようかと悩んだ
あまり大きすぎてもいけないし
あまり小さすぎてもいけない
ふと湖に映る自分の姿を見て
このサイズにしようと思った
だから人間は恐れ多くも神の姿を模している
だから人間は大人になって神の姿そのものになると
その姿になった罪を背負うのだよ
神に近づきすぎた存在として
でもね、おかしいだろう?
つくったのは神様で、その姿を許したのは神なのに、その神に罰を受けるなど
だから、その罰は人間が人間に与える初めての罰で、最初の争いだと言われている
人間が神様をあまりに尊ぶばかりに同じ人間を殺すんだ
哀しいね。」
「馬鹿馬鹿しい。一体どこの分派の話だ?聖書にはそんなこと一言も書いてないぞ。」
黒を纏った赤ん坊はフンと鼻で笑った。
その視線の先のふわりと微笑む青年はボンゴレ十代目に就任して2年が経つ。
色素の薄い茶色の髪に茶色の瞳。
それに合わせたベージュのスーツは太陽光を反射して、まるで輝くばかりに見える。
「さぁ・・・・・・どこだったかな。」
何故かせつなそうに笑う顔は、華奢なその体を余計に希薄にして見せた。
赤ん坊はそれに眉を寄せて、けれど黙る。
何故、消える俺よりもお前は儚い存在なのだろう
赤ん坊は目を瞑って、囁いた。それでも他に何の音もしないこの部屋では大きく響いたけれど。
「神様は人間の力を決めるとき
どのくらい強くしようかと考えた
あまり強すぎてもいけないし
あまり弱すぎてもいけない
ふと手を握る力に気づき
その力を与えることにした
だから人間は神様の握力の力しかもてない
それ以上の力を持てば______」
ああ
「罰が下る」
赤ん坊とは違う声。
青年の肩が揺れた。
「あと3日で7年だ。」
神様
こいつは何も悪くないんです
罰を受けるべきはこいつではない
罰を受けるべきは
力を求めた人間そのものだ
「猫みたいな奴」
あと1日なのに、当の本人は姿を消した。
『止まる』様を見られたくないのか。
それとも違う理由で消えたのか。
もう失敗しても、叱る奴はいない。
「ああ、いったんだ。」
いつの間にか雲雀が部屋の中にいた。
いつも通り無表情に部屋の中を見渡して、最後に部屋の主を見た。
「なんて顔してんのさ。」
笑えるよ。ださい。うざい。
少し眉を寄せた表情で散々な言葉を投げる。
「ねぇ、雲雀さん。俺、言ったんですよ。」
死が怖くない人間なんているものか
そんなことを言ったら、リボーンに笑われた
俺たちは人間じゃない、と
だから怖くない、と
(だから_____俺は哀しいんだよ)
「無表情に、言うんです。
俺と会った頃と変わらない姿で、声で、表情で。
_____っっもうっっっ7年も経つのに!!!!」
呪われた赤ん坊アルコバレーノ
マフィア界の罪の証
そのあまりある力はマフィアそのものを脅かし
そしてその力の主さえも蝕む
ちからを押さえ込むために成長などに使われるエネルギーが消費され、アルコバレーノは成長しない。
そして、完全にその力をその身体に秘める7年目に、その身体は力に押しつぶされ、消える。
「・・・・・・悪く、ないのに。
生まれたときから・・・・・・もう最期が決まってるなんて・・・・・・」
(・・・・・・そうかな。
少なくとも、最期に何かを残せるよ。
最期を知っているなら)
会った頃と変わらない仕草で、視線で、笑みで。
『死人にお守りはできねぇよ』
死とはなんたるか
死とは忘れらることか
それとも残すことをか
「ねぇ、雲雀さん、リボーンは、神様の姿にも、なってないのに、罰を受けなきゃならないの?」
07.03.25
あとがき
意味不明にてすみません!
アルコバレーノの呪いから自分が妄想したものがちょっと当たってハイになって思わず。
死にネタ嫌いだからあえて想像しなかったのに!!!