「若いなぁ・・・・・・」
そんなおかしな呟きを自分に放って近寄ってきた人物は、
確かに10歳ばかりの年をとっていた。
BEFORE 10
「それでも、俺よりは年下だろ?」
「まぁ・・・・・・そりゃあ・・・・・・」
自分が10歳も年をとったことについて何も触れずに会話をする男に綱吉は首を傾げる。
しかし、なるほど、さすがリボーンと生まれたときより付き合っている男だ。
肝が据わっている。
「貴方には随分と、お世話になりました。」
「俺はお世話したくないね。野郎は専門外だって何度言えばわかるんだ?」
「すみません。」
素直に謝る青年はおそらく切羽詰った状況だというのに、そんなことをおくびにも出さずに穏やかに笑う。
さすがボンゴレを背負って立ってきた男だ。
シャマルは少しだけ、笑った。
「それにしても、背だけひょろひょろ伸びやがって。
おい、そういえば、まだ童貞なのか?」
昔はボンゴレとしての扱いでなく、ただのガキ扱いだったシャマル。
それは10年後の綱吉にも例外でなく。
それがなんとも嬉しく、綱吉はつん、と胸が締め付けられた。
変わってしまった立場。
変わらずにはいられなかった自分。
変わらせてしまった仲間。
そして____守れなかった、悪友ともいうべき、男。
それでも、過去は変わらずにここに存在している。
「それは____」
「まだなら俺が口説き方を教えてやろうか?」
「結構です!」
まるで中学生に戻ったような感覚。
ふと、窓に目を泳がせると、グラウンドで練習している野球部が目に入る。
あそこに山本がいたんだな、と思うと10年しか経っていないのに、随分と昔のように思えた。
優しい季節の風が頬を撫で、日の光が揺れるカーテンに日と影の模様を作り出した。
泣きたいくらいに、ここは懐かしい匂いがする。
俺は、ここを、守りたいって、そう、思ったんだ_____
自然と涙が頬を伝った。
シャマルは何も言わない。
多分、気づいているだろう。
けれど、シャマル自身もグラウンドに目を向けて、見たくもない男の青春を見ながら、涙を見て見ぬフリをした。
リボーンに出会って、変わってしまった世界。変わってくれた世界。変われた自分。
様々な出会いと別れと出来事が頭をよぎった。
まるで走馬灯のように。
そうだ、変わらない過去を変えていける未来に変えるために、俺は戦っている。
そうだよ、リボーン____
「シャマル」
「ん?」
「人は、どうしようもない胸の痛みを抱えたとき、どうすればいい?」
「ん〜?そうだなぁ」
女好きの医者は嫌そうに顔をしかめて、それでも温かな腕で青年を抱きしめた。
囁かれた言葉は男嫌いの医者とは思えないくらいに優しくて。
声をあげて泣くのはこの年ではしのばれて、必死に白衣にしがみついて。
胸の痛みをそっと、心で抱きしめた。
リボーン、オレは、オマエを_____
07.05.07