俺はお前に身体を許した
それは哀れんだからじゃない
同情だ
お前は俺と同じだ
1年前の俺と同じだ
代わりを、ぬくもりを、どこかに探してしまう
そうしてきっといつかは絶望する
鏡裏
「____っ」
乱暴に畳に押し付けられる。
背中が擦れて、ちり、とした痛みを銀時に与えた。明日おそらく赤くなってしまうだろう。
正面の黒い獣は銀時の喉に噛み付いて離れそうにない。
じわりと喉から感じる痛みに皮膚が破れたことを知った。
ろくに濡らさないままに後部へと指が伸び、入ってくる。
「___っっ痛っ」
痛みに喉を引きつらすと、今度は喉で溢れた血を舐める音が耳に響いた。
血を舐めることによって傷口が舌で擦られ、ぴりぴりした感覚が走った。
指は銀時の痛みのサインに素知らぬフリで、我が物顔に進入してくる。
ぴり、とした痛みに指がそこを傷つけたことがわかる。それでも指は進入を止めずに、むしろ範囲を広げるように蠢く。
「っってぇっ」
痛みに耐えるように銀時は高杉の腕をぎゅう、と掴んだ。
怪力の銀時が加減もせずに握れば相当な痛さであるが、高杉は息を潜めてそれをやり過ごす。まるでそれが代償のように、高杉は引き剥がそうともせずにその痛みを享受していた。
その間にも高杉は銀時の鎖骨、肩口に歯形を残しながら銀時の内部を探る。その手の動きはしかし、銀時の快楽を捜すためではなく、自分が挿いるためだけに広げているようである。
快楽はいらない
痛みだけを共有したい
胸の痛みと共に
不意に今までとは比べ物にならないくらいの重量が無理やり入ってきたのを銀時は感じた。
息ができないくらいの圧迫感。
「っふっっっ」
苦しさに涙が滲んできた頃、両目をふさぐ掌が被さったかと思うと、この場に似つかわしくないくらいの優しい接吻がなされた。
それから、気が遠くなるような長い接吻。
掌が離れたかと思えば、正面にあるはずの顔はすでに肩口に埋まって黒髪しかみえない。
意地っ張りなのは昔からだが、こうも頑なであると、銀時も呆れてしまうことしかできない。
銀時がそうして呆れた瞬間、いまだ中を圧迫していたものが動き出した。
「っっ___っくっ」
当然濡れもしない、慣れてもいない中は狭く、こじあけるように動くそれは銀時にとって苦しみでしかない。
それでも銀時は珍しく文句を言わずにいる。
高杉は銀時のことなど構うことなく、ずんずんと腰を進めて好き勝手に中を荒らしていた。
「くぁっっ___っはっ」
本能的に痛みを散らそうと身体を動かしてみるが、それは高杉の手伝いをしているに過ぎない。
力を緩めれば痛みも和らぐのだろうが、痛みで強張った身体は中々力を抜いてはくれないようだ。
高杉は腰のみを動かし、何も言わず、ただ肩口に顔を寄せるのみだ。
痛みだけが銀時の身体を支配し、痛みが麻痺してきた頃、一瞬だけ高杉が呻いて動きが止まった。
一瞬の間ののち、それが中で吐き出されたもののせいであることを知る。
そこでようやっと銀時は全身から力を抜いた。
「おいおぃ。中で出すかぁ?普通。」
いつもと変わらない口調で銀時が言うと、もそりと黒髪が動いた。
やっと反応が返ってきて油断していた銀時を、繋がったまま反転させる。
「ぶっっ」
畳に頬を押し付けられ、必死に背中の後ろに視線をやれば、前髪が乱れたせいで顔半分見えない高杉が物騒に笑った。
前髪の隙間から瞳がぎらりと光ったのを確認するや否や、銀時は本気で逃げ出そうとしたが、この体勢はさすがの銀時も無理があった。
上からなんなく押さえつけられ、中のものを動かし始められてしまえばもう降参するしかあるまい。
「ばっっっ__むりっだっ___っくっ」
一度中に吐き出されたものが潤滑剤となり、先程よりは苦しくないが、戦闘で疲労した身体には少し辛い。
しかも慣れていない性交となればなおさらだ。
それでも高杉はまるで壊すかのように激しく突いてくる。
一回のつもりでいた銀時はすぐに余裕がなくなり、高杉のなすがままに揺られることとなった。
高杉は銀時のうなじを何度も何度も噛んでは舐め、噛んでは舐める。
後ろから伸びてきた手が銀時の中心を掴んで、荒々しく扱く。
がくがくと揺れる身体をどうにかしたくて、どうにもできなくて銀時は畳を爪で引っかいた。
痛みのせいで射精できないそれを何度も扱かれることが苦しくて、銀時はその手を止めようとするが、逆に捕らわれる。
手を重ねさせられて自分で扱く形になり、羞恥に銀時の頬が赤くなった。
それにうなじに当てられていた高杉の唇が弧を描くのを感じる。
「っくそっ____っっふっ」
身体のどこもかしこもが悲鳴を上げ、痛みが熱いとすら感じた。
ふと、無心に突いてくる高杉がどうしようもなく虚しく思えて、銀時は痛みでない涙をこっそりと流した。
07.09.02