また一人、また一人と倒れていく仲間に思わず手を伸ばした。
そんな俺をけとばした奴がいた。
そいつはそのまま俺に切りかかってきた天人を一撃で倒し、その後も俺を振り返りもせずに敵を屠っていった。
自分の身ひとつ守るのにも手一杯なこの後背の陣で、ただひとつ、そこだけが光っているように見えた。
また一人、仲間が倒れた。倒れた仲間に止めを刺そうとする敵を斬り、その勢いのまま、自分も敵陣に突っ込む。
あいつにだけ、その荷を背負わせたりはしない。
仲間というのは支え合っているのだから。
あいつだけ、苦しい思いをさせるわけにはいかない。
仲間なのだから。
「おおおぉおおおおお!」
ふたつの星
肉が焦げる匂いと血の匂いが当たりに充満していた。
仲間とも敵とも知れないうめき声があちこちで上がっている。
仲間の退路を守っていたはずの桂と銀時の隊は、援軍を連れて予想の倍以上に膨れ上がった幕府側の人間、天人を相手に奮闘した。
逃げていく仲間たちから援軍を期待するなど本末転倒で、いつ途切れるとも知れない敵の軍勢をただただ斬った。最後には敵も味方も入り乱れ、どちらが優勢なのかすら、わからなくなっていた。
ただ、最後に立っていたのは桂と銀時、隊の数名、そして、逃げていく天人十数名だった。
隊のほとんどが壊滅。
最初の3分の1も隊員は残っていなかった。
「逃した奴ら、援軍呼んでくるぞ。」
「わかってらぁ。」
戦闘の時の迫力はどこへ行ったのか、普段のやる気のない顔をした銀時が呻いている仲間を背負っていた。
さらに、腕にもう一人抱える。
「・・・・・・何してる?」
「見てわかんねぇ?担いでんのよ。まだ息ある奴さぁ。」
自分も深手ではないものの、傷を負っているというのに、負傷して動けない仲間を背負って逃げようというらしい。
助けたいのだろう。それはわかるが、桂は思わず眉根を寄せた。
この男はいつもそうだ。
桂の中にどこか苦々しいものを溢れさせる。
「銀時、お前もわかっていると思うが、最近の追手のしつこさは半端ではない。
・・・・・・お前、担いでいたら逃げ切れんぞ。」
「だからって、生きてる仲間見捨てるのかよ。
あいつらが追ってきてまだ息があると知られたら、無残に殺されるしかないんだぜ?」
「・・・・・・」
銀時の言っていることは十分過ぎるほどわかる。
しかし、もしも傷ついた味方を担いで逃げ切り、帰ることができても、その傷ついた人間を看病することが難しい。
もう追われながらの戦いであるので、しょっちゅう場所を変えなければならない。
深手を負った志士は当分自分で動けないのは目に見えている。場所を動く度にその者らを担いで移動することは効率が悪い上に他の志士を危険に晒しかねない。
情けをかけてやるならば、今ここで、天人の憂さ晴らしに嬲り殺される前に、潔く殺してやるのが一番なのだ。
だが、それを目の前の男に言ってやることが、桂にはできない。
「・・・・・・俺だって、助けてやりたい。しかし、そのことで他の隊士を危険に晒すことは・・・・・・できない。」
桂や銀時が指揮をとって逃げなければ、仲間はこのまま散り散りになって追ってきた天人に殺されるだけだろう。
それはできない。
ここで死んでは帰れる仲間を守ることもできないし、何よりここまで戦ってきた意味もなくなる。
冷静的に考えればより多くの部下を無事に帰すことが、今後の戦闘の人数を単純に計算すれば一番良い選択であることは否めない。
「・・・・・・分かってるよ。代わりといっちゃあぶしつけだが、俺のとこの残りの隊士も帰り道の案内頼むわ。
俺は後から別ルートで行くからよぉ。」
『残りの隊士も』
『別ルートで』
それが銀時の最大限の譲歩だ。
殺してやる情けはこの男の中には存在しない。
「た、隊長が残るなら、お、俺もっ」
銀時の隊士が恐々と声を上げる。
「お、俺もっ」
残りの銀時の隊士がつられたように声を上げるが、それを止めたのは桂ではなく銀時だった。
「馬鹿、お前ら、声も手も震えてるってのによぉ、そんなん逃げるので精一杯だろうが。
それにお前らにも倒れられたら、いくら俺でもキツイっての。」
つまりは足手まといだと言っているのだが、それが銀時の精一杯の思いやりなのだ。それを同じ隊の隊士は嫌というほどわかっている。
自分たちはこの人の窮地を救えるほどの腕はない、と。
肩を落とす隊士たちをすまなそうに見遣って、銀時は桂に目配せした。
もう時間がない。ぐずぐすしていたらすぐに追手は近づいてくるだろう。
桂も頷き、項垂れている隊士の肩を叩いた。
「さぁ、行くぞ。我らだけでも生き残って帰らねば。
銀時、必ず帰って来いよ。」
「ああ」
相変わらずやる気のない顔で掌をひらひらさせて、桂たちの姿を見送った後、銀時はまだ息のある隊士を目に付きにくい岩の陰に隠す。岩の横に穴を掘ってそ防空壕のようにその中に運んだ。
ついでに息のある天人には止めを刺した。深手を負っていても、この行為を見られて仲間が殺されるのを防ぐためだ。
すぐに手当てが必要な連中ばかりだが、どうものんびりは言ってられない。
応急処置だけをして、銀時は来るであろう天人を一人で待った。
目印と目くらましに死体に火をつける。
嫌な匂いがした。
しかし、今の銀時にとって時間が勝負だ。嫌でも何でもやらなければならない。
「早く、来い。のろまよぉ。」
そう言った瞬間、銀時の脇を砲弾がすり抜けた。
コンマ一秒を挟んで、銀時が避けて伏せたのと同時に爆破される。
「おいおい。計画が狂っちまうぜ。」
こんな砲弾をボンボン打たれたら、折角隠した隊士たちが見つかるのも時間の問題だ。もっと悪ければ命中して即死もありえる。
しかし、どうやら砲弾は脅しで、こちらが一人だけと見るや否や、たくさんの天人が武器を片手に突っ込んできた。どうも一人だけなので嬲り殺すことに決めたらしい。
だが、それは今こちらにとって都合が良い。
銀時は最初に襲い掛かってきた二人を一撃で沈めると、さらに銃を手にした天人にその二人を投げつけ、怯んだところを斬りつける。
そうして数十人倒したところで、わざと疲れた素振りを見せて桂たちとは違う方向へと向かった。
「逃げるぞっ!!」
「追えっっ」
「馬鹿っ深追いするなっ」
「腰抜け一人やれずにどうする!!相手は一人だ!」
「行けっっ」
追ってくる天人を一人二人と片付けていくうちに、銀時は気配を消してついてくる追手に気づいた。
どうやら頭の切れる敵の一方は、このまま敗走させて攘夷志士の居場所を見つけた後、殲滅するつもりらしい。銀時の強さを買っている証拠だ。
「させっかよ。」
この先は険しい崖が両脇に切り立つ細道に出る。
そこが勝負の賭けどころであった。
その細道は先が袋小路でどう見ても銀時が追い詰められたようにしか見えない。
「俺も、ここまでか・・・・・・」
銀時は息も荒く、下を俯く。
その表情は天人からは見えない。
「ひっひってめぇ一人にしちゃあ頑張った方よ。さすが白夜叉だなぁ。」
「これで俺たちには白夜叉をやったっていう伝説が明日からつくわけだ。」
「ぶあっはっははは、そりゃいい。」
「おい、白夜叉、命乞いでもしてみろよ。」
「こいつに俺たちの仲間何人やられたか知れねぇ。嬲り殺しだ!」
銀時は目を瞑って足音を数える。
(一人・・・・・・二人・・・・・・十、四十・・・・・・少ないな。さっき見たのは百はいたように思うが・・・・・・)
銀時が敗走中に倒したのも合わせても八十くらいしかいない。あと少し足りないように思った。
(まさか、ヅラたちの方へ?もしくは・・・・・・冷静な奴には罠とばれたか。)
どちらにしろこれ以上溜めれば、銀時の身も危うい。
ギリギリまで引き付けるのが大事だが、引き付け過ぎるとタイミングを逃す。
(今____!!!)
銀時がその怪力で崖を殴った。
轟音を立てて土砂と欠けた岩が上から落ちてくる。
一昨日の雨ともともと不安定な地盤だったせいで、この崖は何かの拍子にがけ崩れが起きる可能性があったのだ。
銀時は轟音と共に上へ跳躍すると、洞窟ともいえない岩の隙間と隙間に身をねじ込んだ。
そこは他のところと違い、地層がしっかりしている。
しかし、頼りない足場の上に揺れるので、銀時は刀を岩に差し込んでどうにか体勢を維持した。
「やっぱり足りねぇ。後の十数人はどこだ?」
「ここだよ。」
上から声がした。
罠を読んだ十数名が崖の上にいるらしい。
「なっ」
上を向いた瞬間、上から銃弾が襲ってきた。
岩に突き立てていた刀を使ってすべて弾き飛ばすが、そのせいで不安定になった体勢で足をとられる。
なんとか踏みとどまった瞬間、一昨日の雨で濡れた部分に滑って、土砂の上に落下していった。
どうも一昨日の雨は銀時の作戦を味方してくれるばかりか、相手の作戦も味方してくれたらしい。
落下していく銀時に銃弾を浴びせる天人。
銃弾を跳ね返すも落ちていく無理な体勢では取りこぼした銃弾もある。左肩は銃弾が貫通し、腰のあたりは銃弾が掠った。
「っっ痛っ」
呻き声をあげて、銀時は土砂に呑まれた。
それを見遣って鳥の顔をした天人が言う。
「あ〜あ。攘夷志士の居場所見つけるために逃しておくんじゃなかったんですか?」
「いや、なんか、罠とか用意しててむかついたんだよ。つい。」
「でも、ま、どうせ侍なんてもう数少ないし、刀だし、馬鹿だし、すぐ見つけて殺せますよ。
あの白夜叉さえいなくなれば。」
「おお、そういえば俺たち白夜叉殺した英雄じゃねーか。」
「おおっすっげ!」
「てか、居場所とか、さっきの戦場に戻れば虫の息の奴らいるだろ、そいつら嬲れば吐くんじゃねーの。」
「頭いいっす。さすが大将!」
湧き上がる天人たちはそのまま戦場へと戻っていく。
土砂の中からもぞもぞと動く物体を目にしないまま。
「・・・・・・見つけ、させやしねぇぞ。」
土砂が止まる少し前に呑まれたために、表層部に埋まっていた銀時は左肩の痛みを堪えて這い上がる。
「折角、ない頭絞って考えた計画が、半分成功したんだ。殺させやしねぇっっ!」
天人の後を追うために銀時は崖をよじ登る。途中で爪が剥がれようと岩で肌を切ろうと登るのを止めない。
やっと上についた頃にはぼろぼろだったが、その紅の瞳だけが、まるで獣のようにぎらぎらと光っていた。
おぼつかない足で天人の隠しもしない足跡を追う。
「・・・・・・なんか、寒くないか?」
「そうか?別に。」
「お前そんな毛皮もってるくせに寒いのか?随分な寒がり屋なんだな。」
「いや、そんなことは・・・・・・?」
寒気を訴えた天人はその数秒後、野原に人知れず転がることになった。
「おい、なんか、変、じゃねぇか?」
「あ?」
「後ろ、こんなに少なかったか?」
数が3分の1になったところで、浮かれていた天人たちは異常に気づく。
いたはずの同士がいないのだ。
「・・・・・・いや、もっと、いたような・・・・・・ゴンザレスもいねぇ。」
「早く、この不気味な森から出ようぜ!!」
自然、足も速くなる。
森の出口を探すために前を見る天人は後ろが見えない。
後ろから僅かな悲鳴を聞いて、ますます恐怖を募らせた天人は我さきにと先程の戦場の野原に向かう。
「くっそぉおおおおっ誰だっ?!
あの野原にさえ出ればっっ」
広がった先に煙の上がる野原、あと数歩のところでその天人の足は止まり、そこから動かなくなった。
「・・・・・・はぁっはぁってめぇらに二度とこの野原は踏ませねぇよ。」
動かない左腕を庇いながら、銀時は天人にそう言い放った。
それから隠しておいた同士を見つけるために煙の中へと消える。
煙はひどく臭い、目に染みて目も開けられないほどだった。自分でつけたにしろ、ここまで広がるとは思わなかった。
しかし、死体についた火も、先程からの雲行きを見るにそう大した問題ではない。
あと1時間もしないうちに雨が降り出すだろう。
「お前ら、大丈夫か?」
やっと銀時が穴についたとき、銀時がそこを去ってから一刻が過ぎようとしていた。
重体だったものはすでに息はなく、そこにいた7,8人中息をしているのは2人に過ぎなかった。その2人もあと一刻もすれば息を引き取ってしまうほどに脈が弱い。
ぎり、と奥歯をかみ締めながら、銀時は1人を右肩に担ぎ、もう1人を左腕で持とうとしたが、どうにも左手に力が入らない。先程左肩を撃たれたせいだ。
「くそっ肝心な時にっっ」
ろくに止血もしていない左肩からはぼたぼたと鮮血が流れ落ちている。
銀時の左腕から仲間の着物に血が染みていく。
徐々に血まみれになっていく仲間に銀時は背筋に寒気を感じた。今まで死んでいった仲間の血まみれの姿が浮かんだ。
自分の血で染めていってしまうその光景が、何故か、ひどく、今の銀時には、自分が殺しているように思えた。
「・・・・・・俺は、何のために・・・・・・」
戦っているのか。
殺しているのか。
仲間を失うためじゃないのに。
仲間を殺すためじゃないのに。
気力を失いつつある銀時の右肩から仲間が落ちそうになる。それに気づいて、はっとして抱えなおす。
(今はそんなこと考えてる暇はない。一刻を争うんだ・・・・・・俺の背中にこいつを縛り付けるか・・・・・・)
しかし、中々動かない左腕のせいでその方法もうまくいかない。銀時が色々と試行錯誤する間にも仲間の脈がどんどんと弱くなっているような気がした。
「・・・・・・なんで、どうしてだよ・・・・・・」
零れちまう・・・・・・
その間にもどんどんと仲間の着物に染みが増えていく。その染みは血以外の雫も混じっているようだった。
「馬鹿か、貴様。1人で何もかも背負えると思うなよ。」
ここにはいないはずの声。
それは先刻別れを告げた声のはずだ。
振り返ると確かにその声の主がいた。
「・・・・・・ヅラ」
「ヅラじゃない桂だ。」
「・・・・・・」
なんでもないフリをしているが、肩で息をしているのを必死で誤魔化しているようで肩を怒らしている。
おそらく隊士を届けた後、すぐに再び戦場へ戻ってきたのだ。その証拠に桂の傷は全然手当されていない。
しかし、桂は平然と銀時の隣にしゃがみ、銀時の左肩をハチマキで止血した。それから銀時が左手で持ち上げようとしていた1人を担ぎ上げる。
「行くぞ。」
銀時が桂をこれでもかというほど凝視していると、桂も銀時に目線を合わせて真面目に言い放った。
「ん?なんだお前、目から鼻水が出ているぞ。」
「うるせぇ。これはあれだ。煙が目に染みて汗が出てるんだ。」
「目から汗など出るか。」
「鼻水の方がでるかよ。」
「ったく。汚い奴だ。」
そう言いながら、桂は銀時に背を向けて歩きだす。
銀時はその背に少しだけ笑いかけてから、後に続いた。
笑みを描く唇を誤魔化すように唇を突き出して軽口を叩く。
「うるせぇ。てめぇだけかっこつけてんじゃねーぞ。」
「む。何をいっている。かっこつけなくてもかっこよくなってしまうのだ。」
「へーへー」
「まったくなんだそのやる気のない返事は。」
「だってヅラつけていくらかっこつけてもかっこ悪いだろ。」
「だから、ヅラじゃない。地毛だ。」
「嘘付け。俺、夜中に手入れしてるの見たもん。」
「貴様こそ嘘付け。俺は夜中はしっかりいびきも立てずに寝相も乱さずにきちんと寝ている。」
「嘘付け。寝相は乱れまくってんじゃねーか。」
「乱れてなどいない。あれは計画通りに布団がねじれてずれているだけで、乱れているわけではない。むしろ規則正しい。」
「おいおい、毛だけじゃなくて頭の中もヅレてきたのかよ、ヅラ」
「だからヅラじゃない。桂だ。」
「丁寧に言い直しただけじゃねぇか。」
「馬鹿かお前は!かつらは苗字の桂だ。貴様の頭に刻み付けてやろうか。」
「やだよ。お前みたいにハゲたくないもん。」
「だから、___」
一刻も経たない内に新しい本拠地についた銀時と桂は、何故か戦闘後よりも元気そうだったという。
そして、重体の仲間2名は一命をとりとめた。
その夜。
寝苦しい熱帯夜で中々寝付けなかったのか、星明りのみを頼りにして散歩を楽しむ男の姿があった。
「今日の星は多いな。」
雲もなく、月も明るくないためにいつもより多く見えるのだろう。
その清々しいほどの満天の星空を見て、その男はしかし、眉を顰めた。
星は死者の分だけあるという、幼い頃に母に聞いたことを思い出したのだ。
『じゃあ、死んだら、星になれるの?』
『そうね。星は生き方を表す輝き方をするから、清く美しく生きなさい。』
「清く、美しく・・・・・・」
生きているのだろうか?
ふと、疑問に思う。
一昨日の雨でできた水溜りを見ると、美しい星空を背景とした己が浮かび上がった。
今日の戦闘で疲弊した身体、顔。手入れされていない長い黒髪はまるで幽霊のようである。
この姿で、あの美しい星空に交えることができるのだろうか。
黒い瞳をじっと見つめる。
ゆらゆらと風で揺れる水面に移る瞳は水面と共に揺れている。
男はそれと同時に己の眼差しも揺れているだろうと思った。
時々、わからなくなる。
これで、正しいのか。
そして、そのわからなくなるときは決まって、銀時と共に戦った後だった。
目の前の命をひとつも取りこぼさない様にがむしゃらに戦い、傷つく銀時が桂を時折苛立たせた。
戦術を取るならば、銀時の行為はとても効率的とは言えない。
むしろ、白夜叉という攘夷志士にとって最強の武器をいつも脅かす。
戦争の勝率を上げるならば、目の前の2,3人の攘夷志士の命よりも白夜叉の命の方がずっと大切だ。
けれど、その肝心の白夜叉がその『使い方』を拒む。
俺はその2,3人を助けるために夜叉になったのだと叫ぶ。
その度にちりつく胸を、桂は右手でかきむしる。
長期的な目で見なければ戦争には勝てない。否、負け戦だと皆知っている。それでも与えられるだけの最大限のダメージを与えなければ。そうしなければ今までの仲間の死は無駄になる。
そうだ。そのために、白夜叉は生きなければならない。
だから、自分はあいつを助けるのだ。そして、親友だからだ。
決して、あいつの考えに同調しているわけではない。否、命を張って自分のルールを守る銀時を尊敬しないわけではない。だが、それとこれとは話が別だ。
違う人間なのだ。当然考えは違う。それはわかっている。
それなのに、時折、銀時が眩しくてまともに見れないときがある。
それは、桂が自分の考えを否定しているのと同じだ。
だから、苛立つ。
「あいつは、単純過ぎる。馬鹿過ぎる。」
そう苦々しくいいながら、桂はそれこそが銀時だとわかっている。
銀時を認め、そして己の矛盾も理解するが故に苦しむ。
ため息を吐いて、桂は水溜りを己の足で荒らすと、その中の桂は水面で歪んで水滴になって弾けた。
空を見上げて、それでも今夜の星が2つ増えずに良かったと少し笑う。
銀時と共に戦いたいと願う己の心を桂は誰よりも知っていた。
07.09.04
あとがき
桂と銀ちゃんはCPでも好きだけど、普通に親友の関係も大好きです。
あと、桂はなんだかんだ言っても、今のテロリストのトップにいるくらいだから、全体の利益不利益を客観的に冷静に見れると思う。自分の感情とかもきっと頭では理解しているだろう。でも、基本馬鹿だから自分に正直だと思う。
ある意味自分に正直に生きるところは銀時と似ている。というか、この二人は自分を貫くところが似てるけど、自分の武士道がちょっと違うからなぁ。
ゴンザレスはもうなんかシリアスだから、ちょっと崩そうと思って失敗した成れの果てです。
銀時が怪力なのはモデルが金太郎だし。原作もそういう設定だったような・・・・・・適当です。