「!!!!!!キラァアアアアアアァアアアアア!!!」
空は快晴。
海には荒波もなく。
穏やかであるはずの場所。
そこに悲壮な叫びが木霊した。
新たな闇
「くそっっくそぉっっっっっっ」
大きな音がして、振り返るとそれがイザークがロッカーを蹴った音だと知れた。
それを止めることは誰にもできない。ディアッカでさえも、止めることができなかった。
皆、暗い顔をしている。
ストライクガンダムと地球軍のガンダムが海に落下し、爆発が起こった後、クルーゼから撤退命令が下った。
それは爆発の起こった場所からディザイアガンダムが片腕を失って現れたことによるかもしれない。
ストライクガンダムは____現れなかった。
わずかな破片が水上に浮かぶほかには何も、ストライクガンダムの存在はレーダーにも確認できなかったのだ。
「キラ・・・・・・」
アスランは唇を強く噛み、パイロットの控え室を後にした。
耐えられなかった。キラの死を嘆く言葉を聴きたくなかった。
キラの死を、認めたくなかった。
固く握られた拳は力の入れすぎで白い。
自室に戻ったアスランはその拳を壁にぶつけた。何度も何度も。
赤くなった拳を心配するあの紫の瞳はもうない。
この拳を見て、あの瞳が曇ることももう、ないのだ。
「キラ・・・・・・キッッッ・・・・・・____ッラ」
「本当に、死んだのかな。」
シンがぽつりと言った。
どこか、虚ろな目だった。
レイもまた、遠くを見ているような瞳で答えた。
「_____死ぬはずが、ない。」
その言葉にシンとルナマリアは驚いてレイを見るが、レイはどこか別の場所を睨み付けるようだった。
意外にもレイがショックを受けていることに二人は目を合わせ、しかし、それをどう思うかの余裕はなく、再び沈黙が訪れた。
その中、レイは誰にも聞こえない声で呟いた。
「それは、あってはならない。」
そして、機内には一人、キラの死を悲しまない者がいた。
クルーゼだ。
「・・・・・・行ったか。」
満足そうな笑みを浮かべ、窓に映る素顔を見つめる。
笑みが醜く歪み、クルーゼはその顔を睨み付けた。
「・・・・・・ここは、どこ?」
1人の少年が首を傾げる。
そこは白いベッドに白い家具、白い天井に白い壁、そして板張りの床。
足元以外のすべてを白が支配する世界だった。
その中で唯一、白いデスクの上にパソコンが一台乗っていた。
起動している。
ふらり、と少年は手招きされているかのようにパソコンに近寄り、キーボードに手をかけた。
そういえば、最後の、任務が、終わってなかったな。
少年は無意識のうちにその手をキーボードの上に滑らせる。
記号がその打つ速度に合わせて画面上で踊り、去っていく。
紫電の瞳はそれを無表情に見つめていた。
だんだんと速度が上がっていき、まるでそれはキーボードをピアノに見立てて音楽を奏でているようでもあった。
ふと、その手の動きが止まる。
「・・・・・・嘘、だ。」
パトリック・ザラのPCではない。しかし、その人の側近のPCの極秘ファイル。
急いでその手がパトリック・ザラのPCを追い求める。
手の速度は先程の比ではないほどに荒々しく、速い。
「嘘だ、嘘だ、嘘だ」
紫電の瞳は驚愕に見開かれたまま、キーボードと打つ音だけが部屋に広がる。
そのうちに、ぷつん、とその音と声が切れる。
パソコンの画面には極秘ファイル、重要度特Sと書いてある。
暗号はすべて少年が解いて、そのプログラムをかけたので、すべて普通に読めるようになっている。
『暗殺命令 事故に見せかけることを第一にすみやかに行うこと』
『目標 ヤマト夫妻』
コレハ嘘ダ
「・・・・・・アイ、シャ、さん?」
どうして、これを自分に知らせたのか
死の間際に
どうして、どうしてどうして
「どうして、貴方の死を、素直に悲しませて、くれないんですか!!!!!」
仕組まれていた?
仕組まれていた?
すべて、すべて、すべて
いつから、何から?どこから?
出会ったのも?
引っ越したのも?
自分と、アスランが会ったことさえも??
わからなくなった
わからなくなった
「とう、さ・・・・・・かあさ・・・・・・」
『貴方のためなのよ、キラ・・・・・・』
両親はこのことを事前に知った上で何らかの対処をしていたのではないか?
だから、自分と離れて暮らすようになったのではないか?
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさ・・・・・・」
疑ったりしてごめんなさい。
心配かけてごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。謝りたい。謝りたいよ。
でも、もう______いない。
「あああああぁぁぁあああぁああああああ!!!」
何もかも、もう、わからない。
何を信じていけばいいのか、わからない。
崩れていく。
崩れていく。
あのときの爆風で壊れていく建物のように。
痺れて。
壊れて。
舞って。
何一つ残らない。
→NEXT(COMING SOON)
08.06.19
あとがき
これ、いつ書いたのだろう・・・・・・