「やっ…イザークッ、やめっ…!」
「大丈夫だ。事後処理はしてやる」
「そういう問題じゃなくって!…やっ…!!」
アメジスト[前編]
「ん…」
カーテンの隙間から、柔らかな日が差し込む。
そんな中、最愛の人___イザークの腕の中でキラは目を覚ました。
目の前には秀麗なイザークの顔。いきなりの度アップに赤面しつつも、綺麗な顔
だということを再確認させられる。つややかな銀糸の髪、端正な眉、通った鼻筋
…。そして、彼の部位の中で最も美しいとも言える、鋭くどこか色香を漂わせる
アイスブルーの瞳は、今は閉ざされている。
「睫毛も長いし…ホントにイザークって綺麗…」
「それはどうも」
「ひゃあっ!」
言葉を発すると同時に、キラを組み敷く。いつもながら素早いと、キラは思っ
た。
「イザーク…いつから起きてたの?」
「キラが起きるずっと前から」
「なっ…///」
(じゃあ、ずっと寝顔見られてたって事…?!は、恥ずかしい…///)
イザークの下で、キラは赤面する。寝顔を見られて恥ずかしがるような仲でもな
いだろう…とイザークは思う。寝顔だけではない。手を繋ぐのでも、キスでも…
キラはこういったことに全く慣れない。SEXなんてもちろんで、朝、目覚めた
ときにイザークが声をかけると、必ずと言って良い程恥ずかしがり、赤面するの
だ。
…まあ、それがキラらしいといえばキラらしいのだが…。
イザークがあれこれ考えている間もキラは赤面し続けていたらしく、困惑の表情
でイザークを見つめていた。
込み上げてくる笑いを堪え、キラの耳元で『今日は寝言も言っていたな…』など
とわざとらしく囁いてやれば、恥ずかしがりのキラは耳まで赤くし、俯いた。こ
れは面白い…と、口元に笑みを浮かべたイザークは、さらにキラを追い詰める。
「キラ…。昨日は久々だと思って俺も頑張ったつもりなんだが…足りなかった
か?」
「…え?」
「いや…寝言で…『もっと…来て…っ』とか言っていたのでな…」
「!!!」
ちょっと気になって…と続ける前にキラは『そんな…』といった表情で青ざめ
る。しかしそれもすぐに羞恥心へと変わり、今度は首まで真っ赤にし、目には涙
まで溜めていた。
「……っ…!」
イザークが反省の意を込めてキラを見つめていると、呆れられたと勘違いしたキ
ラは、両手で顔を覆い隠した。肩も微かに震えている。
(完璧にやりすぎた…な。)
「わっ!!」
顔を隠しているキラの両手を頭上で纏め上げると、今にも泣き出しそうな顔をし
たキラがそこにいた。
「悪かった…」
「……え…?」
言うと同時にキラの目元に溜まっている雫を吸い上げる。終わってもなお、キラ
は紫電の瞳を見開いたまま、『訳がわからない…』といった表情でイザークを見
上げていた。そんなキラを見て、イザークは思わず苦笑する。押さえつけていた
キラの手首に軽く音を立てて口付けると、その手を開放する。
「すまない…。さっきのは全部嘘だ。」
「はぁ?!」
「お前は寝言など言っていない。いつも通り情事後…といった艶やかな表情だっ
たぞ。」
あくまでも真剣に[真顔]でイザークは言う。
「なっ…何それ!!じゃあずっと嘘ついて…っんぅ……ふっ…」
キラを宥めるように深い口付けを繰り返す。歯列をなぞり下の先端を吸ったり、
甘噛みしたりと、貪欲にキラの口内を貪る。するとキラの体からはみるみるうち
に力が抜け、最初は押し返そうと突っぱねていた両腕も、今は背中へと回されて
いた。キラが飲み下しきれなかった唾液は、キラの顎を伝い首元にまで及んでい
た。その艶やかな様にイザークは思わず目を奪われる。
(敵わないな…こいつには)
「んっ…はぁっ…んぅ…!」
キラの限界を感じ取り唇を離すと、名残惜しげに銀糸が伝い、キスの深さを物
語っていた。
「はぁ…っ!イザークッ!!」
キラの声は明らかに怒気を含んでいるものの、全く説得力がなかった。艶かしく
光る唇、上気した頬、涙目(おまけに上目遣い)…。逆効果だということをいい
加減解って欲しいとイザークは思う。
だが、ここで言ってもキラの機嫌は悪くなる一方だ…と悟ったイザークは、飛び
そうになる理性を繋ぎとめ、あえて言わずにキラの上から退くと、優しく抱きし
め、頬や額に軽く口付けた。くすぐったそうにはにかむキラ。
「すまない…キラ。これを…」
イザークの手には、どこから出したのか、いかにも高価そうな白いビロード生地
の小さな箱。
キラはそれを手に取ると、『開けていいの?』と目で聞く。イザークが頷いたの
を確認すると、キラはうつ伏せになり、じっと箱を見つめた。
(何か、本当に高そう…)
「開けないのか?」
「あ、うん…」
イザークに促され、そっと箱を開くと、中にはキラの瞳の色と同じ…アメジスト
の石が付いたピアスが入っていた。
「わぁ…綺麗…!」
「気に入ったか?」
「うんっ!…って、これ…僕に……?」
「それ以外に何がある?」
「あ、いや、そうだけど…。僕、開けてないし…ピアスホール…」
ほら、と手で髪を押さえ自分の耳を見せるキラ。
「俺が開けてやる。」
「えぇっ?!」
まるで当たり前かのように言い放つイザーク。驚愕の表情で横にいるイザークを
見やれば、手には安全ピン。口元には不敵な笑み…。
『せめてピアッサー使ってよ!!』 『いや、そういう問題じゃなくって!!』
…と、心の中で虚しく一人ツッコミをするキラ。…やられた!!と気付くにはも
う遅く…。
そんなことを考えている間にもイザークは迫っていて___そして冒頭の会話へ
と至るのだ。
「キラ、いい加減に…」
「やだっ!絶対ヤダ〜!!!」
「嫌だっ!絶対嫌だってばっ」
「キラ………」
アメジスト【後編】
イザークが例のモノ……ピアスを持ち出してから数十分。
イザークとキラは未だに押し問答を続けていた。
「キラ、」
「嫌だってばっ!」
イザークの言葉を遮るように、キラが言う。
どうやら、もう最後まで話を聞く気すら無いらしい…。
(聞く耳持たぬ…か。)
長年(?)の付き合いの中で、イザークの頭の中には、
【 キラが話を聞かなくなる= 泣くor怒る 】
という方程式が出来上がっていた。
イザークにとっては、泣く・怒る…どちらを取ってもまずい状況になることは必至。
腰抜け共(byイザーク)のもとへ行かれかねないからだ。
(↑主にアスラン・ニコル・ディアッカ)
キラは拒否している。(かなり)
しかし、イザークも同様諦めたくはない。
数秒(え)考えた上で、イザーク・ジュールの誰よりも優れた(※この時だけ)脳は、答えを弾き出した。
「キラ…」
声のトーンを下げ、わざと耳元で囁く。
「……っ!」
途端に、キラの顔は赤く染まった。
それを見て、内心ほくそ笑むイザーク。
「キラ…どうしても嫌か?」
「え…う、うん。」(←改めて真剣に聞かれるとハッキリ言えない)
「そうか…残念だ。
キラと同じ瞳の色のこのピアス…付けて欲しかったのだが。」
本当に残念そうに落ち込むイザークの顔を見たキラは、一番気になっていたことを聞いてみた。
「ねぇ、イザーク…。どうして急に、ピアスだなんて…?」
「…一応同じ部隊にいても、仕事がすべて同じ…というわけではないからな。何か身につける物があれば…と思ったんだ。ピアスは一番無くしにくいし、注意も受けないだろう」
「イザーク…」
そんなこと…考えてくれてたんだ。
(正直…嬉しいかも…///)
「まぁ、そこまで言うのなら諦めるよ、キラ。無理を言ってすまなかったな…」
「……ぃよ…」
「え…?」
「いい…よ、開けても」
「キラ…本当に?」
キラの答えに、イザークの表情が一変する。
「うん…。でも、痛くしないでね…?」
「了解。では…」
「……っうわぁ!」
ドサッ
OKをもらい上機嫌のイザークは、返事をするなりキラを組み敷いた。
「え…イザーク…?何で僕の上に乗っかるの…??」
「嫌なんだろう?痛いのが」
「う、うん…。でも、これじゃまるで……って!!まさかっ…」
「穴を開ける痛みなんて感じないくらい、気持ちよくしてやるよ」
「う…うっ…嘘―――――――――――――っ!!!!!」
後日、キラの耳を見たアスランが泣き崩れたとか何とか。
『押して駄目なら引いてみろ byイザーク』
『…睡眠・食事は大切に…(泣) byキラ』
END
イザークの【理由】が本当かどうかは、謎のまま…。
コメント:前後編だったのですが、どうせなら一気に、ということで載せました。
イザークとキラのじゃれあいがかわいいですvvキラがとても可愛くて仕方ありません!
麻生様、ありがとうございました。